10年後も…〜song for you〜
朝に待ち合わせをした駅に到着する頃には、すっかり日も落ちて暗くなっていた。
時計を見ると、もうすぐ20時を回ろうとしていた。
「晴人くん、真琴のことよろしくね」
私以外のみんなが車を降りた。
私は晴人くんに、家まで送ってもらうことになった。
私も一緒に降りようとしたけど、夏美からすごい勢いで止められた。
『彼氏なんだから甘えるのは当然!晴人くんの気持ちも、もう少し考えなさい』
そう言われると、何も言えなくなった。
「じゃあ、またね」
ドアが閉まると、みんなが手を振っている。
「みんなも気をつけて」
晴人くんの言葉に、私もみんなに手を振りかえした。
健が一番後ろに立って、手を振ることも無くじっとこっちを見ている。
健は目が合うと、一度も目を逸らすことなくじっと見つめている。
なんとなく、胸騒ぎがする。
健は、何かを決意した目をしていたから…。
車は駅から離れ、みんなが見えなくなった。
私は、息を吐いた。