10年後も…〜song for you〜
切ない本音
私の家までの車中。
しばらくお互い黙っていたが、赤信号で停まると、晴人くんが話しを始めた。
「真琴…覚えてる?先月、2人でバッティングセンターに行った時のこと」
「え?バッティングセンター?」
突然の話しの内容に私は思わず聞き直した。
「うん。確か…二週間前くらいだったかな?」
「お、覚えてるよ。だってまだ二週間前だよ?」
晴人くんは、戸惑っている私にフッと笑った。
「彼の存在で、真琴がバッティングセンターを選んだ理由がやっと分かった」
え?
晴人くんは、戸惑っているわたしを他所に話しを続けた。
信号は青になり、車は動き出した。
「バッティングセンターも、廣川さんの影響なんだろ?」
私は、小さくうなづいた。
否定しても意味はない。
「そうだよね。バッティングセンターなんて、普通は女の子が行くとこじゃないしね…。昔から、健や祐樹くんとよく行ってたの。祐樹くんは昔からバスケが好きだけど、健は野球が好きなの」
「そっかぁ…。野球が好きなんだ」
「うん、あいつは昔から野球が好きなの。でも今は、音楽に…ギターかな?」