10年後も…〜song for you〜
「健、奪うくらいの気持ちでぶつかりなよ。あたしは、応援してるよ!それに、真琴ちゃんには、やっぱり西島くんより健がお似合いだと思うよ」
ついさっき別れ話をしたはずなのに、絵里はもう俺を応援してくれている。
絵里は、そう言って再び歩き出した。
絵里の背中を見つめる。
こんな素敵な女性と付き合えた俺は、本当に幸せだった…。
ありがとう。
絵里…。
「あたし、思うんだけど…真琴ちゃんって、健のこと好きー」
ーバサッ!
「た、健?!」
絵里が振り返った瞬間、俺は絵里を抱きしめた。
「ごめん…絵里、本当にごめんな。そして、ありがとう。絵里、お前も絶対幸せになれよ」
細くて折れそうな身体を強く抱きしめた。
抱きしめる資格はないとしても、抱きしめたかった。感謝の気持ちを込めて。
「うん、幸せなる!」
絵里と別れて、俺の心の中にある決意がさらに強くなった。
俺と絵里の3年間は心の中の想い出になった。