10年後も…〜song for you〜
「あれ?健、ひとり?祐樹くんは一緒じゃないの?」
「あー…あいつは、ステージ観てる。なんか演奏見てて、がっつりハマりやがった。ギターやりたいとか、言い出してよ」
「うっそー!祐樹くんが?ギターかぁ…弾けるとかっこいいもんね」
「モテるとでも思ってんじゃね?あいつには無理だろ?」
「ひどいなー。そんなことないって」
「いや、確実に無理だろ?」
「健よりはかっこいいかもね」
「ばーか。ぜってぇちげぇよ」
真琴がフッと笑った。
なんで祐樹の話になってんだよ…
祐樹にまで妬いてしまう俺って、つくづくこいつに惚れてんだなぁ…。
俺から写真に目を移した真琴の横顔を見つめた。
「なに?」
その視線に気付いた真琴の目が俺の方に戻った。
「いや、別に…」
「ん?健なんか変。ま、いいけど」
いいのかよ。
俺は息を吐いた。