10年後も…〜song for you〜
「へ?い、今?あ、あたし…健と…き、キス…」
キスというワードが出て来た瞬間、真琴の耳が真っ赤になった。
「やだ。うそでしょ?」
「事故だよ。事故。気にすんな」
俺は、平然を装って立ち上がった。
本当は、俺の心臓はバクバクだった。
「ほら。立てって」
俺は、真琴に手を差し伸べた。
「う、うん。そうだよね。今のは無し。無い無い」
そう言うと、真琴は俺の手を掴み立ち上がった。
そこまで言われると、やっぱり傷つく…。
やっぱり、真琴は俺のことなんて眼中に無いんだ…
チクリと心が痛んだ。
無しとは言いながら、俺たちは妙な空気になってしまった。
その時、
教室のドアが開いた。
「やっぱここに居た。つか、写真落ちてんじゃん。ん?どうした?お前ら?」
祐樹がこの空気を変えてくれた。
でも、この時祐樹がニヤリと笑っていたことに気付いていなかった。