10年後も…〜song for you〜
またも涙がこぼれ落ちそうになるのを必死に堪えた。
健がそんな私を再び強く抱きしめた。
「真琴…俺、お前に話さないといけないことがあるんだ」
もしかして、アメリカから帰国した理由?
やっと話してくれるの?
健がゆっくりと私から離れた。
そして、私の両手を手に取った。
「真琴…俺な…」
健が優しく切なく微笑んだ。
繋いだ両手から伝わる健の熱。
でも、その熱がゆっくりと引いて行くのが分かった。
その時、健は目を閉じて顔がゆっくりと歪んでいった。
繋いでいる健の手の力が抜け、目の前にあった健の姿がスローモーションのように消えていった。
ーバタッ!
そして、気づいた時には、健は私の足元に仰向けに倒れていた。