10年後も…〜song for you〜
「治る見込みはないんですか?」
みんなが黙り込んでいる中、祐樹くんがゆっくりと口を開いた。
祐樹くんの言葉に祈る気持ちで先生を見つめた。
「あります。しかし、難しいかと…」
「あるんですか?!」
祐樹くんが先生に詰め寄ると、先生の眉間にシワが寄った。
「はい。心臓移植です。しかし、彼に合うドナーがまだ見付かっていないんです」
祐樹くんは、先生の言葉に声を詰まらせた。
心臓移植…。
「ドナーが見付かっても、合併症の影響で手術の成功率は50%…。やはり厳しいかと」
みんなが息を呑んだ。
私は再び目眩に襲われそうになった。
目を閉じると、健の姿が瞼の裏に浮かび上がる。
怒って、泣いて、笑って…
そして、ギターを片手に唄っている健の姿が浮かんできた。
「先生!諦めないで!健を助けて!」
私は気がつけば、泣き叫んでいた。