10年後も…〜song for you〜
少しずつ息が吸うのが楽になり、呼吸器が外された。
「あ…あいつは?」
無意識に放った第一声だった。
「真琴?」
お袋さんの問いかけに、俺は小さく頷いた。
「真琴何やってだろ?呼んでくるよ」
桐谷が呼びに行こうとしたのを俺は引き止めた。
「いや、いいよ…大丈夫」
「そう?分かった…」
ーガタッ!
その時、ドアが開いた。
「健!」
真琴かと皆が思ったが、息を切らして入って来たのは絵里だった。
結局、真琴は俺の前には一週間経っても現れなかった。
きっと真琴はこんな俺を許さないだろうと思っていた。