10年後も…〜song for you〜
翌日、久しぶりにTERAに顔を出した。
夏美に会うのも、健が倒れた日以来だった。
カウンター席に座ると案の定、夏美が話を切り出した。
「真琴…あれから健くんに逢いに行った?」
「…うんうん」
「どうして…?」
夏美が悲しい顔をしてお茶を差し出した。
「夏美…あたし、逢いたいけど…どうしても信じられなくて」
「真琴の気持ちも分かるけど、健くんは真琴のこと待ってると思うよ」
「あたしね、健の顔みたら、正気でいる自信ない。どうしたらいいかわかんないの…」
「いいじゃん。正気でいなくても。ひっぱたいてやっても良いんだよ。健くんの気持ちも分かるけど、こんな大事なことひとりで抱え込んで、話さないなんてひどいよ」
「夏美…あたしはね、自分が許せないの…どうして、今まで気づかなかったんだろうって。そばに居たのに、健のSOSに気付いてあげれなかった自分が悔しいの」
「真琴ちゃん。何言ってんだ?」
その時、それまで黙って隣で料理を作っていた茂さんがこっちを見た。