10年後も…〜song for you〜
その声に廣川くんの方に視線を移すと、明らかに不機嫌な顔をしている。
「そうですよ。付き合ってなんかいませんよ!ただの幼なじみと友達です」
「…そっか」
「お前には、他に好きなやついるもんな」
不機嫌なまま、トゲがある感じで廣川くんがそう言うと、
「うるさいなぁー」
そう言って、顔を少し赤くした真琴ちゃんに、廣川くんがため息を吐いた。
このやりとりだけで、すぐに分かった。
彼は真琴ちゃんが好きなんだと。
「俺、仕事行くわ」
しばらくして、席を立った廣川くんは、
「じぁーな。ま、頑張って良い写真撮れよ」
そう言って、ファミレスを出て行った。
「廣川くん、仕事してるの?同い年って言ってたよね?」
まだ18だよね…?
「あいつ、色々あって…」
「定時制の高校に行ってて、昼間は仕事してるんです」
2人は言いにくそうで、これ以上聞くのはやめようと思い、聞かなかった。