10年後も…〜song for you〜
「健…あたし、怖かった。健が遠くに行っちゃう気がして…」
真琴がじっと俺を見つめた。
「受け止めるから…あたしもう逃げない」
その言葉に俺を息を吐いて、話し始めた。
「ずっと話そうと思ってた。でも、勇気がもてなくて…お前を悲しませたくなかったし、話すのが怖かった。ずっとそうやって俺は逃げてた…ごめんな真琴」
俺はもう一度頭を下げた。
「本当にごめん。俺は、本当にバカだよ。結局はこんな風にしてお前を傷つけて、苦しめて…話すべきだったんだよな。最初から…」
真琴は黙って耳を傾けながら頷いた。
「アメリカに行ったのは、治療の為だった。伊豆先生には本当に感謝してる。伊豆先生の奥さんも、俺と同じ病気で亡くなっているんだ。両親が居ない俺とひとりになった自分が重なって見えるんだって先生言ってて、俺をアメリカに連れて行ってくれた。けど…」
俺は頭を下げ目を閉じた。
「移植以外で治すことは難しいと診断された。ドナーも中々見つからないし、もしかしたら、このまま俺は…そう思うと、すげー怖くなって、お前が居ないアメリカで死ぬのなんて絶対に嫌だと思った」
「健…」
俺の目から涙がこぼれ始めた。
「お前に逢いたくて、逢いたくて仕方なくなった。お前の…真琴の笑顔が見たいと思った。アメリカで入院している時もずっと真琴のことだけを想ってた。お前に嘘ついしまった罪悪感を背負いながらも、やっぱり俺はお前に逢いたかった…」