10年後も…〜song for you〜
重なり合った心
沖縄そばを2人で食べた。
健が笑うと私も嬉しい。
なんて幸せなんだろうか?
いつもは握ろうとしない手も握ってくれた。
右手にはまだ健の手の温もりが残っている。
仕事で来てることを忘れるくらいだ。
沖縄って東京と違って時がゆっくり流れている気がする。
まだ来て数時間しか経っていないのに、沖縄に来てよかったって思った。
仕事で夜しか一緒に過ごせないけど、健が笑ってそばに居てくれる。
それだけで、充分なんだよね?贅沢は言っちゃいけない。
そう自分に言い聞かせた。
「ねぇ健?」
「ん?」
ホテルまでの帰り道、健の腕にしがみつくと、ずっと気になってたことを聞いてみた。
「健は、あたしのどこが好きなの?」
「は?なんだよいきなり」
「だって、あたしは素直じゃないし、変に気だって強いし、意地っ張りだし、顔やスタイルだって、絵里さんに比べたら…月とスッポンだし」
そんな私の言葉に健は吹き出した。
「お前なぁーったく…」
「だ、だって…。絵里さんみたいに、料理も上手くないし、女らしさも欠けてるし…。あたし、絵里さんと比べたら劣ってばっかだよ?」
健はため息を吐いた。
「俺の気持ち疑ってんの?」
「そうじゃないよ。ただ、やっぱりプレッシャーっていうか…絵里さんが前カノだと色々と…」
あたしが俯いていると、健が顔を近づけて不意打ちに軽くキスをしてきた。
そして、ギュッと抱きしめてくれた。
健は抱きしめて頭をポンと叩いて、
「お前はお前だろ?良いとこも悪いとこもひっくるめて、お前が好きなんだ。人と比べんなよ。俺がお前を好きって言ってんだから、信じろよ。俺は、真琴じゃなきゃダメなんだ」
健の言葉が嬉しくて泣きそうになった。
あたしはバカだ…。
こんなにも想ってくれているのに…。