10年後も…〜song for you〜
『1月10日
21歳になった。結局、この一年間…何も変わらなかったな。就活も上手くいかないし…。
夏美や友達からバースデーメールが届いた。みんなありがとう!夜はみんなでパーティーを開いてくれた。ありがとう。
健が後から合流してきた。
珍しくギターを弾いて歌ってくれた。なんだか久々に健のギターを聴いた気がする。
1月20日
びっくりした…。
健…突然アメリカに行くって言い出した。
いきなりのこと過ぎて頭が真っ白になった。しかも、出発は5日後…。
何で急に?わけわかんない。』
21歳の真琴の誕生日に、歌を唄った。
真琴に歌を唄ったのはあの夜が初めてだったな…。
もしかしたら、アメリカでの治療が上手くいかず、もう逢えなくなるかも知れないと思ったから、俺は真琴に歌を贈った。
あいつ、すげぇ喜んでたな…
本当はこの日、アメリカ行きを話そうとしたけど、あいつの喜ぶ顔を見たら言えなくなったんだ…。
結局、5日前になってからようやく言えたんだっけ?
あの時、何も言えずに黙り込んでしまった真琴だったけど、翌日には背中を押してくれた。
『1月21日
健が決めたことだ。健の性格だもん。今更何言ったって聞かないよね?応援するしかないよね。
でも…やっぱり…すっごく、すっごく…
寂しいよ。
1月24日
いよいよ、明日。健がアメリカに行く。実感がわかないな。本当に行っちゃうんだね?今日は眠れるかな?
少し、外の空気吸いに行ってこよう…。気持ちを落ちつかせよう。そして、明日は笑顔で見送くんないと…健の為に…』
俺は、唇を噛み締めた。
空港で笑顔で見送ってくれた真琴が蘇った。