10年後も…〜song for you〜
あいつに生かされている俺の命…
でも悲しみの代償はこんなにも深い。
お前が居ないと俺は…
ダメなんだ…。
『7月20日
健の歌声が響く。健の弦を弾く音が響く。
健が大きなステージで歌ってる夢を見た。この夢が現実になって絶対に叶いますようにと、今日の満月に祈った。
7月24日
最近いつも同じ夢を見る。
大きなステージで歌ってる健。きっと現実になるんだよね?あたしはそう信じてる。
7月30日
あたしが健を助ける。例え、この命がなくなってしまっても…。
8月2日
ここ最近、ずっと考えてた。あたしが健を助けることが出来れば、それはすごく幸せだ。でも、本当はやっぱりずっとそばに居たい。おじいちゃん、おばあちゃんになっても…。
8月15日
花火大会に行ってきた。もちろん健と2人で。2人とも浴衣を着た。普段、手なんて繋がんないのに、ずっと手を握っていてくれた。あたしはやっぱりずっとこの手を離したくない。
8月18日
健、大好きだよ。どうか、一日も早く健が元気になりますように。
8月20日
沖縄出張が決まった。健のことで、ずっと悩んでいたけど、健が背中を押してくれた。でも不安はやっぱり消えない。健と一週間離れ離れになるけど、大丈夫だよね?
8月26日
明日からいよいよ、沖縄出張だ。緊張する。あまり眠れなくて、健の部屋を覗いたら、健は爆睡してた。なんだか少し悲しかった。健はやっぱり悲しくないのかな?
あたしの方が好きの度合いが大きいのかな?
8月27日
沖縄一日目終了。
健が沖縄にサプライズでついてきた!飛行機で健を見付けた時、嬉しくて泣きそうになった。健の言葉のひとつひとつが嬉しすぎた。幸せだなぁ。あたしは充分愛されてる…。そのことにちゃんと気付けたよ。健、ごめんね。沖縄のこの旅、健とたくさん思い出が出来れば良いな。そして、またたくさん歌を唄って。この沖縄の海に負けないくらいの熱い想いを…』
日記はこの日でストップした。
この翌日に、真琴は事故にあった。
そして、
俺の命を真琴は救った。
俺は、止めることが出来なくなった涙で真琴の日記を濡らしていた。