10年後も…〜song for you〜
未来につながる夢 *夏美 side
【10年後】
「まことー。そろそろおかたづけしなさい。お洋服も着替えて」
そんな私の声に、4歳になる娘のまことが、手を挙げて返事をした。
クレヨンでお絵かきをしていたまことは、自分できちんと片付けを始めた。
関心して微笑んだ矢先、もうひとりの"子供"が寝室から私を呼ぶ。
私はため息を吐いた。
「なによ?」
「なぁーこっちとこっち、どっちが良いと思う?」
黒のジャケットにするか、紺のジャケットにするか、悩んでいるらしい。
「どっちも変わらないわよ。」
「は?ちげぇよ。こっちのジャケットはストライプ模様が微妙に入ってんだって。けど、インナーが白だから、やっぱ黒かな〜?」
私は、やれやれともう一度ため息を吐いた。
すると、
「パパはどっちでもかっこいいよ」
と言って、まことが寝室に入ってきた。
「そうだよな〜。まことよく分かってんなー。さすが俺の子だ!」
そう言って、その"パパ"はまことを抱き上げた。
「パパ好きー」
「パパもまことが好きー」
親バカっぷり全開だ。
「祐樹くん、あと5分で出発するからさっさと決めて。まことも着替えるよ!」
そう言うとまことを祐樹くんから取り上げた。