10年後も…〜song for you〜
渋谷公会堂に到着すると、たくさんの人で賑わっていた。
「…すごいね、健くん…」
「…ああ。ついにやったなあいつ…」
祐樹くんと渋谷公会堂前の道路の入口に貼ってあるデビューLIVEのポスターを茫然と見つめていると、
「夏美ちゃん!祐樹くん!」
と、呼ぶ声がした。
振り向いたその先には、柏木さん、晴人くん、茂さん、真琴のお母さんが居た。
「みんなー!」
みんなの姿に思わず声を上げた。
「ご無沙汰してます!」
祐樹くんが頭を下げる。
「夏美ちゃん、祐樹くん、久しぶり!!」
絵里さんがにっこりと笑っていた。
「まことちゃんも大きくなったねー!」
真琴のお母さんがまことの頭を撫でて微笑んだ。
「はい、おかげさまで」
「なんか、祐樹くんに似てきたんじゃない?」
絵里さんの言葉に祐樹くんがデレデレになった。
「女の子はお父さんに似るからなー」
茂さんの言葉にため息を吐いた。
「性格までそっくりです。残念ながら」
晴人くんが私の言葉にフッと笑った。
「は?なんだよ?夏美ー。残念って」
「はいはい、痴話喧嘩は後にして、行きましょうか」
真琴のお母さんの言葉にみんながうなづいた。
こうして、みんなで会場の入口へ向かった。