10年後も…〜song for you〜
目の前に広がった光景は、俺の歌を聴いてくれるたくさんの人達の姿だった。
スタンドバイミー。
真琴が好きだったこの曲を最初に弾くと、さらに大きな歓声が響き渡った。
今までの出来事が走馬灯のように駆け巡った。
ギターを始めた頃の俺。
バンド解散で揉めた俺たち。
病気の為、一度は夢を諦めたこと。
そして、それをずっと支えてくれた大切な仲間と大切な俺の愛する人。
演奏中、みんなの姿が見えた。
真琴のお袋さんが、真琴の写真を持っているのが見えた。
そして、
真琴自身もそこに居る気がした。
真琴が笑っている。
すごく幸せそうに笑っている。
俺は、溢れ出そうとした涙をグッとこらえた。