10年後も…〜song for you〜
それなのに、絵里は俺を…
『真っ直ぐで、嘘がつけない人。心は誰よりも優しい』
と言ってくれた。
絵里と付き合っていく内に、俺も絵里を本気で好きになっていった。
始まりは、真琴に対する意地や嫉妬から、彼女と付き合っていたけど、彼女の真琴にはない包み込むような空気感が俺を安心させていた。
ただ、その気持ちが…
アイツへの想いに勝ることはなかった。
そのことに、絵里も少しずつ気付いていたのかも知れない。
絵里が俺に気付き、店の二階から表の道
に続く階段を降りてきている表情は、嬉しいというより、戸惑いと不安の顔でしかなかった。