イケメン女子の学園生活1【完】

「朔月…?」


俺が言うより早く朔月はくるりと向きを変え、

全速力で走り出した


あ?
何で逃げるんだ?



そう思ったと同時に俺の足が自然と朔月を追いかけていた



…ハァ…ハァ……


暫く走った後についたのは公園



逃げた理由を問えばつい、とか意味が分からない事を言われた

…が、俺も何故追いかけたのか分からないのでつと口を閉ざす


にこやかな朔月と話していたらボンヤリと熱を出している弟、滋の姿が頭を霞めた

コイツなら看病できるか?


いや…迷惑かける訳には………

そこまで考えた所で、俺の我が儘で…いや、朔月に迷惑かけたくないという横暴で弟をほっとく訳にはいかねーと、

迷惑かけたのなら後で俺がかりを返せばいいだけだと、

考え直した



嫌な顔1つしない朔月の姿が嬉しかった

無償の優しさがまぶしかった


正木に事情を話せばすぐ帰ってやれ、と言われたから良かった










俺の家につきテキパキと作業をする朔月に見とれる

いやいや、んな事してる場合じゃねーと

氷水やらを用意した


朔月の手作りお粥が羨ましいなど煩悩が霞めたが直ぐ様消し去る


滋が苦しんでんだぞ
馬鹿言ってんな



落ち着いた滋が寝息をたて始めたのを聞き俺は肩の力を抜いた


良かった

朔月が居てくれて良かった…!


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