イケメン女子の学園生活1【完】
『もしもし』
「無視っ!?」
執事の言葉をスルー
黒の個人用の携帯のディスプレイには哲と出ていた
《もしもし、朔月?》
『うん』
《今時間大丈夫?》
ちょっと落ち着かない哲の様子に首を傾げながらベッドに腰を下ろした
執事が遠くでクローゼットを整理するのを横目に
『大丈夫。どうした?』
《いや、…あの、な……》
『ん?』
言葉を濁しなかなか言わない哲の先を促す
低い声質から何かあったのか?と悟るがそれ以上は分からない
《……ごめん、やっぱ会って話したいから、いーや!》
『…そう?じゃあ、会った時に聞くな。遠慮すんなよ?』
《…ありがと。なっ、いつ会えそう?》
『そうだな……』
オレはチラリと執事を見た
目が合い、何かを察した執事はオレに黒いノートを渡した
『……分からない』
黒いノートの予定表には予定がびっしり
それは、良い
しかし……葉月が来る日からの予定が不明だらけ
《……》
『……葉月が、帰ってくるんだ』
《は、ずきさん?》
『だから…難しそうだ』
《だっ、大丈夫!?》
『大丈夫大丈夫』
オレの事情を知っている哲は焦った声を張り上げた
電話越しだけど哲の姿が鮮明に浮かんでフッと肩の力を抜いた
『……ただ、今は何も分かんないんだよね。でも、絶対空けるからさ』
《分かった。待ってる、な》
『うん、』
《じゃ、切るな?おやすみ》
『おやすみ。哲』