イケメン女子の学園生活1【完】
『誰?これ』
「朔月」
手鏡に写ったのは、女
『女……』
てか、女装した葉月に見えないこともない
笑える(笑)
「女だなー。ドレス楽しみ♪ちょっと抱き締めていいか?」
『は?良いわけないだろ』
スッと回された腕をスルリ避け、時計を見る
『あ、時間だ』
「チェー。時間っすねー」
『何だその態度は。行くぞ』
「はいはい。あ、俺っつーなよ?」
『分かってる』
オレ達は部屋を出た
屋敷の者がオレ達をチラチラ見てきた
『……あれ、今葉月じゃないのに…』
「朔月様が美人だからですよ。あと、もう少し早く歩いて頂けますか?」
『うん』
美人じゃねーし
つか、執事が歩くの速いんだよ…
「遅かったな」
「申し訳ございません。身支度に時間がかかってしまいました」
「ああ、」
父と執事が話すのをそっ見守っていたら目があった
「……朔月、後で私の部屋に来なさい」
『はい』
まあ、それだけしか話してないんだけど
「葉月様、お帰りです!」
―――………ギィー…
重く、大きい扉が開き、立っているのは、
オレと似た顔立ちの兄、葉月だ……
あの頃の白く細い身体つきはなく、ほんのり焼けた小麦色にほどよい筋肉が身体を覆っていた
背も、伸びたみたいだ
オレより5cmは高いだろう
「………ただいま」
『おかえりなさいませ』
静かな微笑みを浮かべる葉月が、帰ってきた