イケメン女子の学園生活1【完】
〜葉月 side〜
久しぶりの日本
久しぶりの家
けれど俺の心は全く晴れない
会いたい…会ってはいけない
話したい…話してはいけない
モヤモヤと俺の心を埋めるのは、離ればなれの朔月の事
帰国したその日は空港ホテルで一泊
そして次の日
大きい黒塗りの車が迎えに来て夕方、俺は家の前に立っていた
ゆっくりと扉が開き、中にいるのは、愛しい愛しい朔月なんだ……
「……………ただいま」
『おかえりなさいませ』
女のメイクに心臓が跳ねるが、それと共に押し寄せる罪悪感
朔月は俺の目を見ず、瞳を伏せていた
そりゃ、そうだよな…
「おかえり、葉月。今日はゆっくり休め」
「はい、父さん」
そう言った父さんはさっさと自分の部屋に戻っていった
「…休め、と言ってもパーティーにはご出席下さい」
今度話しかけてきたのは元、俺専属執事の遠野だ
「ああ、遠野か。分かってる。…………」
「左様ですか。では、私達はこれで」
目を伏せたままの朔月をつれて行こうとする遠野を焦って止めた
「ま、待って。朔月…………後で、俺の部屋に来てくれない?」
『……はい』
「…朔月様も準備がありますので、少し、でお願い致します」
随分俺に対して強く当たるようになったな、コイツ……
………だけど、俺は責める事なんて出来ないけど
戻る朔月の背を見送ってから、メイド達と共に部屋に入る
パーティーとやらの説明を聞き、1時間くらいたたっときに、扉がノックされた