イケメン女子の学園生活1【完】
『朔月です』
「入って」
メイドを追い出し、朔月を中へと招く
さっきと違い顔を挙げている朔月は昔と変わらず俺に似た、けれども独特な魅力を放つ美しい顔立ちだ
朔月の顔は無表情で、俺ですら感情を読み取れない
……けど、その方が良いのかも
「……座って」
俺はソファに座りながら向かい合わせにあるソファに朔月を促した
言われるがまま、ソファに座る
「俺は…君に合わす顔なんてないのに……」
『…え?』
言われるがまま、そんな彼女の様子を見るとまた、罪悪感と自己嫌悪で胸が締め付けられた
キリキリと痛むそれに声が震える
「ご、こめん…本当に」
合せる顔もなければ、彼女とこうして話すことさえ罪なのだろう
けれど、言いたい……自分を守るため、と言われても仕方がない
実際、そうなのだから
消したい、何度そう願った事だろう
逃げて逃げて逃げた先には何もなく
ただ、君への思いが募った
思い、なんて綺麗なもんじゃないけどな
「……今から、俺の話を聞いて欲しい。全部、本音。…あ、いや聞くかどうかは任せる、」
俺はもう二度と彼女を強制させることを発しては駄目だ
……聞いて欲しい
言い訳、じゃない
俺が今抱く、朔月への思いを純粋に聞いて欲しいんだ
許してくれなんて、死んでも言わないから……
『勿論、聞きますよ。その為に来たんですから』
ああ、良かった
朔月の言葉に安堵し、フッと肩の力を抜いた
…………そして、俺は過去の話と共に、俺の全てを彼女に話す事を決意した