イケメン女子の学園生活1【完】

おかえりパーティー



兄の涙で肩がしっとり濡れた

それが…とても暖かく感じるんだ



〜朔月 side〜



グスグスと鼻をすすりながら離れた兄は、オレが想像していたより、情けない

情けない…けど、こっちの葉月兄さんのが好きだな




『この後、パーティーですよ?目、腫らしちゃ駄目です』

「う……そうだね。冷やしてくる。………後で、もっと話そ?」

『はい。伝えたい事はまだありますからね』

「…うん。兄として、しっかりするためにも。これからは、頼って良いからね。朔月」

『…はい』






葉月兄さんの部屋を後にした

オレの頬は緩みっぱなしで


「なに?どうした」


と、執事がうろたえる程に



兄さんの本音を暫く聞き、オレの浅知恵に恥じた

深く深く、悩んでいた兄さんの支えになれなかった


兄さんのしたことは最低で、許せなかった…けど、今のオレなら兄さんの支えになれなかった事を悔やむ


この、心の変化は少なからず、あの馬鹿達にあるんだろう…


初めて、大勢の仲間、友達ができ、視野が広がった




『葉月…兄さん、か』



広い視野で見えたのは、父だけに縛られるより、兄、と言う家族が増える喜び

信じれる人が増える嬉しさだった





『あの馬鹿達に見せられたってのが、癪だけど』


だけど、良かった


葉月兄さんときちんと話すことが出来て

オレを想ってくれて、頼りにしてくれていて嬉しかった




過去は消えない

……けど、空いたオレらの溝は今から埋めれば良いんだ



そう思えば自然と顔が緩むのは、致し方がない



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