イケメン女子の学園生活1【完】
「ど、どうした?」
『いや…明日、仕事できないって言いにきました』
「え…?用事?」
『はい。友達と夏祭りに…』
「友達ってまさか男…なんて言わないよね?」
『……いや、全員男です』
「…………ふぅん……」
オレをジッと見たまま固まった葉月兄さん
頭にハテナを浮かべ、首を傾ければ、葉月兄さんはフッと笑う
「そういえば、朔月は男装してたね。なら、バレてないか」
『女って事なら、バレてます』
「……あれ」
『私がバラしちゃいました』
「え、え?何で?す、好きになった…とか?」
あわあわとせわしなく手をパタパタさせている兄さんを避けて、オレはソファに座る
因みに兄さんは着替え終わっていて、白い神父のようなきちっとした格好をしている
『好き…じゃなくて、隠すのが面倒になりまして。オリエンテーションと被ったってのもあります』
「……本当?良かった……朔月に悪い虫がついてたらどうしようかと」
『悪い虫?あ、と言うことで、明日抜けますね』
「うん。…あ、そうだ。俺も明日ちょっと抜けて、朔月のお友達に挨拶を…」
え、何でさ
アハハ、と笑いながらオレの顔色を伺う兄さんにため息
ビクッと揺れた身体に思わず笑ってしまう
『挨拶は、またにしてください』
「わ、分かったよ…朔月が言うなら。ん、言うの遅れたけど、ドレス似合ってる…綺麗」
『……あ、ありがとうございます//』
兄さんが誉めるとか…慣れてなさすぎて照れる
オレよりも兄さんのが似合ってる、なんて言ってやんないけど
「もうすぐ、パーティー始まるね。…一緒に行こう?」
『はい』
「じゃ、……どうぞ」
スッと曲げた腕を出された
兄さんの顔は赤く、目を逸らすその仕草が可愛かったので、少し笑った後、兄さんの腕にオレの腕を絡め、部屋を出た