イケメン女子の学園生活1【完】
父さんの期待を裏切るなんて無理で
パリにも興味あるし、俺のためにもなる
けど、アイツの…大好きな親友の顔が俺を縛りつけるんだ
自然と涙が溢れた
父さんが整理しろと言ったのは、荷物と…心だろ?
無理だ
無理なんだよ!
俺の中の朔月の存在はでかすぎるんだ
しかも、月牙という友達もできちゃったし
「……アハハ、尚輝泣くかなぁ…」
とっくに泣いている俺は尚輝の泣き顔を想像して笑うんだ
嫌だな、離れたくないな
彼等と、朔月と
「な、んで…!何で今なんだ!」
叫んでも変わらないけど叫ばずにいられない
涙を流し続けた俺は力つきるまで、泣いた
『……っ!ごめん!気づかなくて、悩んでいる哲に気づいてやれなくてごめんっ……!!』
ボロボロ涙を流す俺を抱き締めた朔月は切ない、絞り出すような声を出した
何で君が謝るんだ
優しすぎるだろ
俺が隠してたんだぜ?
何でっ、
「朔月は優しいんだ!」
『!』
「離れたくなくなるだろ!さ、朔月!」
抱き締め返すと朔月も小さく震えていることに気づく
顔を見ると、涙は流してないものの、揺れる瞳は潤っていた
「なっ泣くな!」
『泣いてない!』