イケメン女子の学園生活1【完】
夏の終わり
涼しげな風が頬を霞めた
真っ青な空を見上げながら、オレは空港へと足を進める
一人、空港へと向かう
哲が帰る日だ
月牙の皆は重要な決戦とやらで来れないらしい
その代わり、オレ抜きで夜会っていたとか…
にしても、時間が止まれと思うのは初めてだ
こんなに焦れったい気持ちになるなんて
ジリジリと焦るように胸を焦がす
空港に入るとエアコンが効いるが、人混みのせいか外よりも暑く感じた
フラつきそうになる足を踏ん張りしっかりと前に歩く
会いたい、けど、会いたくない
これが最後だなんて
『…いや、最後じゃない』
自分に呟きかけ、待ち合わせの時計台につくとデカイアタッシュケースを持った哲がいた
『…哲!』
「ん?お、朔月っ!」
オレをみた哲は嬉しいような悲しいような複雑な表情で笑った
「…ありがとな。見送り」
『いや、オレが来たかったんだ』
そう呟くとそっか、と哲も呟く
暫く沈黙してしまう
『……時間、いつ?』
「あと、30分…」
沈黙を破って聞いたが、……あー駄目だ!
後30分しかない!