イケメン女子の学園生活1【完】
『ありがとう。哲のお陰で皆に話せた』
「…朔月の力だよ。俺はなんもしてない」
なんもしてない訳ないだろ、ったく
お前がそんなに優しいから、オレはお前から卒業できないんだ
「…時間ないから、改札向かっていいか?」
『…ん』
時計を確認しながら言われた言葉に頷く
止めては駄目なのに、行かせたくない
行かないで、と腕を掴みたくなる
自分で応援しといて、なにやってんだよ、オレ…
言いたい事も沢山あるのに、止めてしまいそうになるから口を開けない
なあ、哲
喋ってくれよ
もっと元気にいってくる、って言えよ…
じゃないとオレ、お前を止めてしまいそうだ
「……、朔月と離れるのは寂しいけど、俺、パリ楽しみなんだ」
改札につくと哲は顔を上げ、おもむろに口を開いた
『…うん』
「頑張ってくるから、俺」
『う、んっ…!』
「…っ!さ、さよならは言わないから!」
涙を貯めた強い瞳
そんな綺麗な瞳を脳裏に焼き付ける
『オレも、頑張る。応援してるな?哲!』
「おう!」
そうか、言葉なんかなくても、想いは通じていたか