StratumRoman~積み重なる物語~
何分経っただろう
何時間経っただろう
私は丘の上公園の頂上にある
街全体を見渡せるベンチの上で
ズーット膝を抱え
膝の間に顔を埋めて下を向いていた
ふと顔を上げると
いつのまにか辺りは真っ暗になり
街は明るく輝いていた
「私って最悪だな……」
棗は悪くないのに怒鳴ったりして
自分ばかり泣いて……お兄ちゃんにばっかり甘えて…
「棗……お兄ちゃん……お母さん……ごめんなさい」
何に謝ったか分からないが
なんでか”ごめんなさい”が言いたくなった
「はぁ…はぁ…はぁ……い……居た」
後ろから声が聞こえて振り向くと
汗を掻いて
息を切らして、肩で息をしている棗が
自分の鞄と私の鞄を担いでいるのが目に入った