StratumRoman~積み重なる物語~
「………え…?」


理解が出来ない私は


ぽかんとした顔で先輩を見上げた


その瞬間先輩と目が合って


しばらく沈黙が続く


ザァァアァ


いつもは気にならない風にゆれる木々の音が


はっきり聞こえる


それはまるで


沈黙の私達を助けるかのように聞こえた


「………嘘」


沈黙を破った先輩の声は


あまりにも小さくて


聞き取りにくかった


「…え?」


「嘘…いつもみてたの俺のほう」


理解する暇もなく


気付けば


私は先輩の腕の中だった


「……せ…んぱい??」


背が小さい私は


先輩の腕の中にスッポリと入ってしまう


「…と、……あって…ださい」


私は分からないと言う感じの目線で先輩の顔を見上げると


今度はちゃんと私の目を見て


「俺と、つきあってください」


その時の先輩の顔は


私達をさす夕日より真っ赤に思えた




加藤愛のLoveroman

   -END-
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