siNger
美和
「なぁ、春美?」
「うん?」
午後7時過ぎ。
私とカケル君はいつものフェンス越しでバスケの音を聞いていた。
「俺,春美の歌聴いてみたいんだけど。」
「・・・・・。」
「俺聞いたことないし。」
「あるじゃん。カエルの歌歌ったよ?」
「カエルの歌かぁ。」
突然,何を言い出したのかと思った。
歌を・・・聴きたいって・・・・
「ねぇ。聞いてみたい。」
「・・・・・・・。」
「いや?」
「いや・・・・っていうか・・・・。」
いやじゃない。
歌うのは好きなの。
でも・・・・・・
人前で歌うのは・・・・・・