siNger
帰り道,彼は無言のまま私の手を引いていた。
私はなんて声をかけていいのか分からなかったんだ。
カケルくんの言っていた『アレ』とかかわりがあるのかな。。。
「のど・・・渇いたね。」
カケルクンが沈黙を破った。
「そこの公園でジュースでも飲もうか。」
「うん・・・。」
小さな公園の脇に,自動販売機があった。
彼は買ってくるねと言って,私をベンチに残して走り出した。
と,その時
カシャン!!!!
「あ!!」
カケルクンは後ろポケットに入れていた携帯を落としてしまった。
「わぁ!!ごめん。持ってて!」
「う・・・うん。」
彼は走って販売機へと向かう。
そういえば私・・・
彼の携帯番号もアドレスも知らなかったんだっけ。
あんまり携帯に執着心がないからスッカリそんな物忘れてたや。
私は彼の携帯を拾い上げて・・・
付いているストラップに目が行った。
ストラップには-MIWA-の文字。。。