siNger
「ごめん・・・また何も考えずに発言した。」
「え・・・?」
「カケルくんの・・・触れてほしくないところに,私いっぱい触れてる気がするの。」
「!」
「・・・ごめんね。」
私は下を向いて考えた。
いったい私は付き合ってから・・・
ううん、付き合う前からカケルくんを何回傷つける言葉を言っただろう。
また心にひびが入ってしまうようなことを・・・・
フワ
「!」
頭にカケルくんのあったかい掌がのっかった。
「ふれてねぇよ。」
「!」
「お前は俺をいやしてくれてるよ。」
カケルくんの手が・・・・私の頭を優しくなでる。
一気に生まれたモヤモヤが、一瞬で吹き飛んだ。
私がカケルくんのほうを見ると,カケルくんからのキスが待っていた。
優しいキス。
唇が離れて,カケルくんと目を合わせると,ホンワカした気持ちになった。
「春美?大丈夫?」
「へ?」
「なんか・・・ホワーってした顔してる。」
「なにそれ!マヌケ面してる!?」
「いや。」
そう言いながらカケルくんは立ち上がった。
「かわいい顔してる。」