siNger
次の日の放課後。
今日も一人で部活。
悠とは仲直りできたけど,部活には顔を出さなかった。
本当にバイトが忙しいみたい。
今回は信じようと思った。
被害者ぶるのはやめようと思った。
「♪~♪♪~」
吹奏楽部の陰に隠れて歌う私。
大音量だと,私の声もはずむ。
ただ,演奏が終わったのに気がつかないで歌い続けると,顔から火が出そうなくらい恥ずかしかった。
私やっぱり・・・・恥ずかしいんだ。
人前で歌いたいと思いながら,実際の心境はそんなもんだった。
私の決意なんてそんなもんだ。
なんでだろう。
ピアノ引いてた頃はあんなに楽しく人前で弾けたのに。
何が違うのかな。
久しぶりに,ピアノを弾きたくなったんだ。
ピアノなら・・・カケルくんに弾いて,聴いてもらうことができるのかな。