siNger
手と手
「追試はどうだった?」
「満点に近かったんだよ~ホラ!!」
いつものフェンス越し。
私とカケルくんはいつものように会話していた。
この間帰ってきた追試の結果を,私は自信満々に彼に見せていた。
「へぇ・・・すげぇな。」
「へへへ。この間のテストと同じ問題ばっかりだったの!」
「へぇ。相当先生もあまあまだな。」
「なぬ。」
彼はテストをめくっていく。
―ごめ・・・俺・・・こんなつもりじゃ―
あの日から,私はかなりの壁を彼に感じていた。
彼が見せた涙。
彼の抱えている大きな心の傷。
いったいなんなの・・・?
バスケと関係しているっていうのはなんとなくわかる。
でもやっぱり理由が分からないんだ。
知らなくちゃいけないんだ。