siNger
今日の吹奏楽部はバラバラに演奏していた。
顧問が来ていないみたいだ。
隣の音楽室から楽しそうな笑い声がする。
その声は丸ぎこえ。
今日はipodを持ってきた。
好きな曲を聴く。
鼻歌を歌う。
カラオケに行けばいいと思うだろうけど,カラオケは好きじゃない。
音が大きくて,きれいな曲がきれいに聞こえない。
私も歌がうまいとは言えないから,採点とかしちゃうと凹むし・・・
私は何をしたいんだろう。
―自信持ちなよ。―
時刻は5時半。
彼は・・・・カケルくんはもう来てるかな??
今日もあのフェンスの下で
目を閉じて
バッシュの音を聞いてるのかな。
どうしてバッシュなんだろう。
それはずっと疑問だった。
でも聞いてはいけない気がした。
踏み入ってはいけないと。
あの悲しそうな目に聞いてはいけないと。
カケルくんと会話したシーンを思い出してみた。
そんな会話してないんだって思った。
でもいっぱい話した感じがした。
でも
何かが欠けていると思った。