siNger
そう,彼は・・・
カケルくんは笑わない。
笑顔を見ていない。
水野先輩のような笑顔がない。
でも全然気がつかなかった。
それほど,カケルくんにはホンワカしたものがあった。
「おい?」
「・・・ん??」
カケルくんがオールを片手に私の前に立っていた。
「聞こえた?相手してよ。」
「・・・エ!?私バスケなんて体育の授業くらいしか;;;」
「いいじゃん。おもしろそー。」
「なにがですかぁ##勝てるから??」
「おかしなプレー見れそうだから。」
「・・・絶対絶対絶対相手なんかしません###」
「やべ、怒らせた。」
そう言って彼はまたゴールに向かってドリブルしていった。
その後ろ姿を見て思う。
どうして笑わないんだろう?
わざと?
それとも笑えないの?
笑いたくないの?
大好きなバスケをしているのに,彼は結局1度も笑顔を見せなかった。