siNger
夜の9時。
体育館の鍵をかけて,職員室に持っていった。
夜の暗くて怖い学校。
カケルくんはどうしても学校には入れないと言ったので,
私が置きに行った。
「もぉ!!すごくこわかったです夜の学校!!」
「おばけでた?」
「###」
カケルくんが私を家まで送ってくれる。
嬉しかった。
「わかった,怖かったんだ,学校!!」
「・・・・・・。」
「?」
「あったりぃ。」
あ。
カケル君、うそついた。
カケルくんには壁がある。
踏み入れない壁。
破ってはいけない壁。
そこに私は踏み込めない。
「ついたよ。」
「え!?」
いつの間にか家の前だった。
「今日は,ありがとな。」
「!」
「すごくうれしかったよ。じゃぁ。」
そう言って後ろ姿を私にさらす。
「カケルくん!!!!」
私はその後ろ姿に声をかけた。
「!?」
「あ・・・・あの・・・」
「?」
「また・・・しようよ。」
「え?」
「体育館・・・・で・・・バスケ・・・。」
「春美やらないじゃん。」
「・・・・いいじゃないですかぁ。」
「・・・・うん。」
「!」
「また,やろうな。バスケ。」