siNger
夜の体育館は穴場だった。
誰も来ない。
私たちは11時過ぎまでバスケをした。
毎日親に怒られたけど,全然苦じゃなかった。
私はたくさん親にウソをついた。
それほど彼といたかった。
そんな時間が1週間続いた。
「ねぇ、知ってる春!!体育館お化けが出てるらしいよ!?」
「はっっ!!?」
悠の言葉に大声を出した。
「野球部が体育館の横通った時に聞こえたんだって!!ドリブルの音!!」
マズイ
「へ・・・へぇ;こわいねぇ;;」
それは私たちのドリブルの音だ。
間違いない!!
もしこのことカケル君に言ったら
『やめよう』って言われちゃう。
なぜかそれは嫌だった。
ガツン!!!!
「わぁ;」
「もっと奥のほうを狙うんだよ。」
お決まりの夜11時。
平日は11時から。
あの日から,相変わらず私のシュートは決まらない。
「ブー、どうしてはいらないの??」
「力みすぎじゃない?」
「そぉかなぁ。」
「もっとふわっと入れるイメージでさ・・・」
あの日からカケルくんの細かい講義は続いていた。
「カケルくん、しなくていいの?」
「ん?」
「私に教えて終わっちゃってない?」
「いんだよ。おもれぇから。」
ドキ
「そっか。」