siNger
忍び込んだ体育館。
しずかで。
広くて。
声が通った。
どうして先制来ないんだろうって思うくらいシーンとしていた。
来られたら困るんだけどね;
「さて。シュート練習するか?」
「え~もういいよぉ。」
「なんで??」
「だって全然入らない。」
「俺もそうだったよ。」
「え!?そうなの!??」
「そうだろ,最初みんなそうだって。」
そうか。
誰にでも初めてがあるわけで...
カケルくんだって初めからあんなきれいなシュートを打てたわけじゃないんだ。
そう考えたら変な感じだ。
「なんでバスケ始めようと思ったの?」
「ん?」
私はボールを手に,質問してみた。
「始めた理由?」
「うん。」
カケルクンは床にあぐらをかいてちょっと困った顔をした。
ひょっとして聞いちゃいけなかった・・・?
「ご・・・ごめ」
「近所のダチがさ」
やっぱりいいやって言おうと思った時,カケルくんが語り出した。