桃色の初恋〈上〉
1.浮気
『ただいま~』
「おう、お帰り」
今日は、父がもう帰ってきていた。
愁が顔を出したら、なぜかわからないけ
ど父は嬉しそうな顔をした。
「彼氏か?」
『うん。』
「はじめまして」
「紗季の父です。紗季をよろしく」
普通の父なら、少し彼のことを睨むと思っ
てた。うちの父は変わってるのかな?
「紗季の親父、いい人だな」
『父はまあまあ。でも、前言ったように
母がちょっとね・・・』
「そっか。」
今日は、萌に、矢崎とのことを疑われないよう
に、はっきりとこの人が彼氏だと言おうと
思ってる。
『萌、入るよ』
中からは、萌の泣き声がした。