桃色の初恋〈上〉
『本当に?』
愁は頷いた。
私は、人と付き合ったのが愁で初めてだ
から、何かあったら嫌われるっていう想
像しかないんだ。
嫌われるのが怖いのと、矢崎の名を出すの
が怖かった。
『愁がめくって。』
私は自分からTシャツをめくる勇気はなかっ
た。
愁は、優しくめくった。
『汚いでしょ?だから見せられないって・・・』
「大丈夫。俺は気にしない。痛かった?」
『うん。その時はね。でも今は大丈夫。』
愁はそっと傷にキスをした。そして大事そう
に私の背中に手をあてた。
『あったかい』