桃色の初恋〈上〉
屋上の扉を開けた。
目の前には愁が私に背を向けるように
立っていた。
2人の間には長い沈黙が流れた。
「久し振り。」
『うん...』
「元気?」
『まぁね...』
ぎこちない会話。
付き合ってたことなんてまるでなかった
かのようだった。
「なぁ、俺のこと、本気じゃなかった
のか?」
『...』
「俺は紗季に本気だったよ。」
「でも、ずっと気づいてた。
お前が矢崎に惚れてたこと。」