桃色の初恋〈上〉
処理したつもりの記憶の一部が脳裏に
浮かんだ
「何、だまってんの?あっ、そっか。思い
出したんだぁ~」
『・・・』
私は何も考えられなくなり、無言のまま
そこに突っ立っていた。
「五十嵐、ごめ___!!」
「愁、あと5分だよ!!だってさ~」
「・・・何したんすか・・・」
「別に」
「何したんすか!!!」
「何も。じゃ、俺先行くわ」
矢崎翼は笑いながら私達を後にして去って
行った。
「五十嵐!!大丈夫か!?」
『・・・私・・・』
「ん?」
本当は言いたかった。
“もう近寄らないで”って____
だって、この先のことも私のせいで___