桃色の初恋〈上〉
『・・・応援してる。』
きっと周りの人から見たら、私達は1組
のカップルに見えてるのかな?
「俺の話、聞いてくれる?」
『うん。』
「俺な・・・家族がいねーんだ・・・」
愁の悲しい声が胸に響いた。
あのデータに書いてあった“不明”の
文字の意味がなんとなく分かった。
『・・・知ってるよ。』
「俺のデータ読んだんだ・・・」
『うん。話し続けて』
「俺の親父、社長だったんだけどな、
会社が倒産して俺が8歳の時に自殺し
た。」
『私も・・・8歳の時、母が姿を消した』
「五十嵐も母親いねぇのか?」
『いなかったの方が正しいかも。父がすぐ
再婚したから』