桃色の初恋〈上〉
「じゃあな」


愁の背中を見届ける私。

何か、言わなきゃと思った


『ありがとう』


愁はこっちを向いて後ろ向きに歩きながら
にっこり笑って手を振った。



『フゥ~。行っちゃったな・・・』



私の中では何かが心残りだった。


家に入る。
玄関には今日は異常に靴が並べられていた。


『ただいま。』


私はリビングに向かわず、自分の部屋へ
直行した。


「紗季ちゃん、入っていい?」

妹の萌の声がした。


『いいよ。』

私と妹は母が違うけど姉妹は姉妹。

正直、萌が羨ましい
父からも母からも可愛がられてる。

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