桃色の初恋〈上〉

愁の顔が目の前にあって笑いそうになっ
た。愁って本当にイケメンだなって思っ
た。


(「・・・覚えてるよな。約束。来いよ!」
 『嫌、離して!!!』
 「そう言われたら・・・!!!」
 『嫌ァァァァァァァァ!!!!!!』)


私は愁を突き飛ばしてしまった。

「どうした?」

愁は怒らなかった。

『ごめん、本当ごめんね。』

言えないよ・・・
本当は彼氏だから、隠し事なんてしたくな
い。けど・・・・

「五十嵐・・・。昔何かあったんだな。
 今は、いいよ。そのこと話せないんだろ?
 辛い経験・・・」

『ごめん。私、早退する。』


何も言ってこない愁。
愁は何でも分かっちゃうんだね。
絶対、いつか話すから・・・絶対。





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