桃色の初恋〈上〉
『どうしたの!?』
「愁から聞いた。矢崎のこと。」
『そっか・・・』
「あいつ、ヤバイぞ!」
『えっ?』
「矢崎になんかするかも・・・!?」
『する訳ないよ・・・今日、あたし誕生日な
のにメールもくれない人が。』
「そっか、紗季ちゃんは知らないんだよな。」
夢は、にこにこしてこっちを見ている。
「愁の弟のこと」
『知ってるよ。』
「愁の弟、亮っていうんだけど、亮の
誕生日なんだ。」
『私と同じなんだ・・・』
「愁な、亮の誕生日、亮の墓がある新潟
に墓参りに行って、亮の好きだったサッ
カーボールを墓前に置いて来るんだ。」