桃色の初恋〈上〉
「紗季ちゃん!入るよ。」
珍しく、最近会っていなかった萌だった。
『どうしたの?久しぶりだね。』
私抜きで、皆家族旅行行ってたからね。
全然寂しくなかった、毎年のことだから。
「紗季ちゃん、最近彼氏できたでしょ?」
『なんでわかるの?』
「だって、薬指。」
『誕生日に貰った。今度顔見せてあげるよ。』
「マジ!?そういえば、紗季ちゃん、今まで
一度も彼氏みせてくれたことないよね。」
『うん、まぁ・・・』
見せてあげなかった訳じゃない。
矢崎翼のせいだよ____
怖かった。男の人と話すことが。
萌、お姉ちゃんは恋なんてしたことなかっ
たんだ。