桃色の初恋〈上〉

「なぁ、最後に頼んでいいか?」

『何?』

「・・・俺にキスして。それで全て終わ
 り。」

『...わかった。』


それで、何もかもが終わるなら、何でも
してやろうと思った。


チュッ。


私は、彼氏以外の人とキスをした。
悪いことをした。愁、許して___。

愛のないキス。それは意味のないもの。
偽るほど、人は苦しくなるんだよ。
萌はきっと、振られたら深く傷つく。
強姦されるよりも何よりも_____。



「じゃあな。」


矢崎は今までになかった、涼しげな表情で
手を振って校内へと戻って行った。



『愁、ごめんね____』


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